題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

初出勤


母から言われたことがもやもやと燻っていたが、とにかく氣持ちを切り替えて初出勤に
臨んだ。

仕事や利用者さんについて教えてくれるのは社長のお母さんで、社長は聴覚障害がある
ので友人とこの会社を起ち上げたんだそうだ。
求人サイトでもグループホームの募集はどんどん増えているなと感じていたけれど、
こういった自身も何かしら抱えている方が作った会社・施設なら、本当に利用者さんの
ことを考えた運営方針だろうと、ますます好ましく思った。

 


仕事内容は基本的には家事だが、子育て経験があることを重要視しているらしくやたら
それに絡めて褒められた。
50代の主婦の方も面接に来られたそうだが、子どもがいない人だから断ったのよと聞か
された。
あまりそこに期待されるのもなんだか怖かった。
うちは一人っ子だから大した経験にもなってないし…。

うちの利用者さん達は他のところに比べて穏やかで性格いい人達だからと説明された
けど、他を知らないのでこの時はそれがどういうことかよくわからなかった。
夕方に皆さんが作業所から帰宅して紹介してもらい、こういう人達はこだわりが
強かったり、変化を受け入れづらいのではと懸念していたのだけど、皆さん温かく
受け入れてくださって嬉しい驚きだった。
とにかく他人の優しさが身に沁みる。
優しい世界が広がっているなと感じたし、わたしが求めている世界はこういう世界だ
と思った。

ここは男女合わせて6人の利用者さんが生活しているのだが、うちの子と同い年の子
や父と同じくらいの男性もいて、なんだか色々考えさせられた。

なまった身体に9時間勤務は正直きつかった。
慣れたら時間配分とかコツが掴めるのだろうけど、来週から利用者さんがもう一人
増えると聞かされ、他にもあの人は脱走するとかこの人は本当はこのホームに入れる
基準を超えた障害だけどお試しで宿泊して大丈夫だったから入れただの後から聞かさ
れて、それらに一人で対応できる自信が持てなかった。
脱走とか、事故とか何かあったら責任取れないし、その間に他の利用者さんに何か
起こるかもしれない。
責任が重すぎると思い、帰り際に本当に申し訳なかったが辞退した。

せっかく正社員だったのに、まあそんなにいきなり上手く行かないか…、となんとも
言えない氣持ちを抱えて帰宅の途についた。
この日はよりによってわたしが駅に向かう少し前に人身事故があったようで、かなり
電車も遅れていて、更に疲れが増した夜だった。