題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

優しい目


そろそろ帰らなければならない時間になった。
一軒目のサワーの濃さにやられてたせいでかなりフラフラなのもあったけど、出来ることなら帰りたくなかった。そんなこと出来ないし言えないけど。


路線が反対方向なのにも関わらず、この日は初めてわたしが乗る路線の改札まで送ってくれた。まあ見るからにフラフラしてたせいだとは思うけど、今日は一日ちゃんと女の子扱いしてくれたのが嬉しかった。
でもこれだけフラフラしてても手は繋いでくれないんだよなー。ちぇっ!笑
いや、わざとじゃなく本当に歩くのもままならなかったんだけどね。

改札に着いて、また今までにないことを言われた。

「家に着いたらメールして!」

「えー。文字が打てる氣がしないー笑


「〝あ〟だけとかでもいいから!笑 ちゃんと着いたかメールして。」

相当酔ってるように見えたのかな。実際酔ってたけど。
でも前にもこのくらい酔ってた時はあったんだけどなー。
なんにせよ、心配してくれてるんだろうからそれは嬉しかった。

わたしが酔いのせいもあって動きが緩慢なのもあったけど、しばらく無言で見つめ合ってしまった。頭も上手く回らなかったけど段々恥ずかしくなってきて、

「どうせ顔超赤いんでしょー笑」

とその場をやり過ごそうとしたのだけど、赤くないよと普通に返されてしまった。

それからまた暫く見つめ合う時間が流れたけど、今度は山羊くんの目が凄く優しいのに氣付く心の余裕があった。
無言で見つめ合えるような関係性じゃないし、本来なら氣まずいはずなのに、この時は自然に穏やかな時が流れているのを感じられた。

この時の山羊くんの優しい目もきっと一生忘れない。
当たり前にこの眼差しを向けてもらえる存在になれたらどんなに幸せだろうと想像したことも。