題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

昭和の町工場


工場工場と書いていたが、昭和の町工場といった方が伝わり易いかもしれない。
実際わたしが配属された窓抜きの機械はデザインからして昭和感満載だし、もう部品もないから壊れたら使えなくなるシロモノらしい。

3台あるのだが、それぞれ壊れかけというかガタがきていて、あちこち歪んでいた。
そう、この歪みもあって型替えが大変なのだ。

ネジやらあちこちが歪んでいるので、突き当ての右側が合ったと思ったら左側が0.2ミリ上がってる、又は下がってる。歪みを加味したつもりで金槌で叩くと今度は叩き過ぎで右が下がる。こんなことの繰り返しで、この0.2ミリを合わせるのに1時間半格闘したりして本当に頭がおかしくなりそうだった。

直属の先輩以外のもっと上の人達も見かねてコツを教えてくれたり、直属の先輩もわたしがおかしなところに拘ったり躓いたりするので、こんなわたしにも理解できるようにと毎日あの手この手で教えて下さった。
先輩も一体どうしたらコイツが出来るようになるんだと、相当頭を悩ませていたことと思う。
毎日胃の辺りを撫ででいたので、軽く雑談ができるようになった頃にわたしのせいですかと聞いたことがある。
氣を遣ってくれたのかもしれないが、こんなのは全然可愛いもので、もっと大変なことはいっぱいあったし出勤途中で倒れて救急車で運ばれたことが2回あると言っていた。

でもわたしに教えるのは相当難儀しただろうなと今でも申し訳なく思う。

この先輩には本当にお世話になったし、この人が教育係でわたしは本当に幸運だったと思う。
今後わたしが人に何かを教える時にはこの人のように出来たらいいなと、人間性も色々と学ばさせて頂いた。


初めて型替えを自分一人で最後まで出来た時は嬉しかったが、時計を見ると2時間半かかっていた。
最終的に30分で出来るようにならないといけない。慣れたら時間が縮められるのかもしれない、でも出来るようになってる自分を全然イメージできない…。

それでも5分でも10分でも前日より早く終わらせられるようにと、ひたすらそれを目標に取り組む毎日だった。