あと1時間
一番時間のかかる突き当ての位置を調整する工程に時間を割けるように、動きが身体に染みつきさえすればいい工程をとにかく早くこなせるように自分なりに頑張った。
結果1時間半にまで縮めることが出来た。
試用期間はあと1ヶ月半、その間にあと1時間をなんとかしなければ。
まだ1時間の問題を抱えているのに、封筒も今までは一番扱いやすい六つ切りサイズの封筒だけだったのが、いよいよ大き目の角封筒に挑戦することになった。
サイズが大きくなる分注意を払う箇所も増えるし、運ぶ時もその分重い。
緊張するが逃げるわけにもいかないので、必死に頑張った。
この時期本来は残業などないらしいが、一週間1時間の残業も続いて本当に大変だった。
そんな時に帰りの電車が遅延して途中の駅で2時間も足止めを食らうなどして、本格的な繁忙期の残業続きの時期になったら身体がついていけるか不安になった。
この頃に癌治療で入院していた伯父が退院して、一人暮らしなのでうちで静養することになった。手術から1年半が経って抗がん剤の治療中だった。
抗がん剤には色々思うところはあったが本人の望むようにするしかないし、でもこの頃やはりだいぶ弱ってきていたので心配だった。
退院初日はお寿司を食べて思ったより元氣そうで安心したが、その5日後の朝、急変して救急車を呼ぶ事態になった。