題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

久しぶり!

 

工場を辞めた後、さすがにこれから人生どうしようということしか考えられなくなっていたので、山羊くんのことも全然考えることもなかった。
どんなに恋愛至上主義の人間でも、ここまで背水の陣になったらそんな余裕はなくなるものなんだと初めて知った。
今までそれだけぬるま湯の人生だったんだろう。

ぬちまーすのお陰で体調も良くなってきて心身に余裕が出てきたら、やっといい職場に巡り合えたことを報告したくなった。工場初日にあんな風に励ましてもらったのに実は辞めたなんて言いづらくて、この4ヶ月一切連絡を取ってなかった。

メールじゃなくて会って落ち着いて話がしたい。
面白そうなレトロ喫茶店を見つけたので、そこにご一緒しません?とメールしてみた。

『タイミングが合えば大丈夫だよ。』

今までこういう返しはきたことがなかったので、あまり乗り気じゃないのかと一瞬怯んだが、氣にしないようにして話を進めた。すると意外にも近い日を提案してきた。
んん~、久しぶりだし、今の山羊くんの様子が全くわからん。
でも会いたくなかったらばっさり断る人だし、約束してくれるってことは迷惑ではないんだろうから余計なことは考えないようにしよう。

会ってみたらいつも通りの山羊くんだった。
ランチしながら近況報告していくうちに、6月に伯父を亡くしたことを話したら、同じ頃山羊くんのお母さんも亡くなっていたことを知った。そして数日前にお父さんの身体に異変があって検査して、今は結果待ちだということも。

何を言ってもロクな言葉にならない氣がして、何も言葉に出来なかった。
この4ヶ月の間、山羊くんも本当に大変だったんだな…。
それに今もお父さんのことも心配だろうし、変な時に誘ってしまった。
そう言ったら、

「家にいたって何か出来るわけじゃないし、気分転換になるからいいよ。」

って言ってくれたけど。

それからなぜかウチの母の事を聞かれたので、話しているうちにアダルトチルドレンのことまで喋ってしまった。山羊くんはアダルトチルドレンという言葉自体知らなかったけど、途中で一生懸命共感してくれようとしてるのがわかって急に申し訳なさと恥ずかしさが襲ってきた。山羊くんは多分普通に愛されて育った人だろうから、そんなことしてくれなくていいのに。しかもお母さんを亡くしたばかりで、母親関係の話題自体するべきじゃなかったと思う。聞かれたからって話を続けなければよかった。

それになんでAC(アダルトチルドレン)のことまで話してしまったんだろう。
今までこの話は、親と関係がよくないと話してくれた一人の友達にしかしたことないのだ。

ACと氣付いてから親にちゃんと愛されなかったという事実を認めるまでに何年もかかった。ACにとってそこを認めることは最初にして最大の難関だと思う。
だから普通に愛されて育った人にこの話をするのは心が痛くてなかなか出来ない。
今まで、同じ痛みを知っている人にしか言えなかったのだ。
それがなぜか山羊くんには何も考えずに極自然に言ってしまっていた。

いつの間にか心が、山羊くんに甘え切っていたんだろうな。