題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

介護職員初任者研修を振り返る② 認知症


今まで認知症の人と関わった経験がなく認知症についてほとんど知らなかったが、認知症の種類とそれぞれの特徴的な症状を学んでいくにつれて、自分がこうなったらどうしようという不安に包まれたのがきつかった。

お陰様で今のところうちは両親共に健康だが、普通はわたしくらいの歳なら両親の方の心配をするのかもしれないが、わたしは親をすっとばして自分がそうなって娘に大変な思いをさせることになったらどうしようということばかり浮かんできたのだ。

自分がこう考えるように、誰だってなりたくてなるわけじゃない。
認知症の人に対応する心構えとして、〝認知症の人は困った人ではなく困っている人〟というのにもハッとさせられた。

勿論現実は理想通りにはいかないだろうし介護する側や家族の負担が大きいのは事実だろう。

どの立場でも認知症、というものに関わるのは想像以上に大変なことだと思うので、こうして少しでも勉強する機会が得られたのは本当によかった。
また、そういう診断がなされた時の家族の心情、葛藤から受容までどのようなプロセスをたどるのかも知ることが出来てよかったと思う。

介護も障がい者支援も自立支援が基本理念だが、その上で本人の出来ることを増やしていく為にも意欲が非常に重要だという話の中で、実際にあった例として、以前の介護では〝元氣になったら○〇に行こうね〟のような声掛けでやる氣を引き出そうしていたがあまり効果はなく、現在都内のある特別養護老人ホームでは何月何日に○○に行く!とまず目標を具体的かつ明確に決めてしまう方法で意欲を引き出しているという話が凄かった。

この方法で実際に要介護3~5の方達が、職員と1対1で公共交通機関を使って箱根に温泉旅行に行くまでに回復したらしい。
また別のホームでは入所当初は要介護5で寝たきりだった方が7ヶ月後杖をついて歩けるまでになったそうだ。
逆に歩けていた人が寝たきりになるのに一週間もかからないというから、それほど人間にとって意欲というものは大事なものなのだそうだ


この、意欲に関しては、人の活動における様々な場面で要になるなと勉強になった。
特に歳を重ねる毎にそれを引き出すのに相当の工夫が必要になってくるのだろうなとか、今まで意識できなかったことが見えてきた。

また、認知症の人はわからないことや忘れたことが増えた代わりに、目の前の相手が自分にとって敵か味方かを瞬時に見分ける感覚が鋭かったりするそうだ。
こういったことは視覚障がいや聴覚障がいの方ではよく聞く話だが、認知症の方も失った能力を補うように他の感覚が鋭くなることを初めて知った。

人間の能力の不思議さを思った。