天津飯
わたしは映画や本や写真やアートが好きで、その辺りの話が出来る人と知り合いたかった。
そして時には深い話も出来る、そういう人を求めていた。
リアルで仲良くなれる人も趣味より深い話が出来る人かどうかに重きを置いているので、そういう友達は何人かいるけど、文化的趣味の話が合う人がその時周りにあまりいなかったのでそういう話に飢えていたのだ。
その人はここでは山羊くんとする。
文字でのやり取りだから、文章量とか、言葉のチョイスとか、ちょっとした表現とか、顔文字のセンスとか、そういう細かいところから感性が合うだろうことを読み取っていた。
山羊くんはやり取りが楽しいのは勿論、そういう面も絶妙で完璧だった。
文字からしかその人を読み取ることが出来ないから、そこが合わないと案外やり取りも苦痛になってきたりするのだ。
ある時どういう流れだったか、中学の頃幽遊白書にハマってたって話になった。
山羊くんは同い年なのだ。
わたしが
『飛影派だったー!邪眼欲しいとか思ってたよ笑』
って送ったのに対して
『まさかおでこにマジックで描いてないでしょうね!?
一歩間違えたら天津飯ですよ!!笑』
って返してきて、読んだ瞬間リアルで爆笑した。
しばらくこれがリトマス試験紙になってたけど、みんな幽白面白いよねーって無難な返事ばかりで、こんな面白い返しをしてきたのはこの人だけだった。