恋愛
暫く会う目途が立たなくなった。山羊くんが大変な状況なのもわかってるし、これは今ではないという神のお告げみたいなものでもあったかもしれない。
2022年は激しい後悔と共に幕を開けた。返事は求めない形の手紙を渡したから、もちろん返事はないんだけれど、今更ながら自分が何をしでかしたのかに氣付いたのだ。
先日山羊くんと会ってから、2021年がわたし達の世界線が繋がっている最後のチャンスなんじゃないかという思い込みに囚われ始めていた。価値観の違いの件もそうだし、会ってる時の会話の中で山羊くんが地震が怖いから外国に行きたいみたいなことも言ってて、…
工場を辞めた後、さすがにこれから人生どうしようということしか考えられなくなっていたので、山羊くんのことも全然考えることもなかった。どんなに恋愛至上主義の人間でも、ここまで背水の陣になったらそんな余裕はなくなるものなんだと初めて知った。今ま…
面接の合間を縫って美容院に行った。電車の中で、ふと、こっちは山羊くんち方面なんだよなー、会いたいなー、と思ってしまった。先行き不透明な状況に疲れていて、山羊くんのエネルギーを分けてもらいたくなってしまったのだ。
山羊くんから先日のスケートの写真が送られてきてお礼と感想を送ってから、また思い付いてしまった。今度娘の卒業式がある。わたしが出席する最後の学校行事だろうし、せっかくならきちんとした写真、撮ってもらいたいな。でもこの前撮って貰ったばかりだし…
以前山羊くんがネット上の人と会ってきた話をしてる時に、時期を思い出そうとして、「バレンタインのチョコ貰ったから、2月かー?」って言ったことがあって、それを聞きながら『ズルい!わたしもあげたい!!笑』 と内心思ったことがあった。初対面のその人…
元いた土地の役所に転出届を出しに行った。義父が勝手にわたし達家族の住所変更をしていたことが発覚して役所の人に少し怪しまれたりと迷惑を被り、余計に疲れてしまった。 最終的にDV夫から逃げてるのかとの心配までされたが、そういうケースの認識がきちん…
あの瞬間、わたし達は確かに心の中の何かを交わし合った。あの日から、山羊くんに対する氣持ちが以前とはなんだか違うものに思える。
電車の中ではまだ酔いが醒めず無事に自宅の最寄り駅まで氣を保っていられるか不安だったが、駅に着いて家までの道をおにぎりを食べながら歩いていたら、だいぶ酔いが醒めた。やはり今回も主食を食べていなかったのも悪酔いの原因になっていたのだろう。無事…
この時わたしはやっぱり帰りたくない思いに支配されていた。なんでこの日までに離婚が成立していなかったんだろう。あー、帰りたくないなーって、言ってしまいたい!こんな台詞、人生で口にしたことないけれど。こんな思いに支配されていたわたしは、山羊く…
そろそろ帰らなければならない時間になった。一軒目のサワーの濃さにやられてたせいでかなりフラフラなのもあったけど、出来ることなら帰りたくなかった。そんなこと出来ないし言えないけど。
本当は、あなたに恋をしたことでわたしはこんなにも成長できたんだよ、だからあなたには凄く感謝してるんだよってことを伝えたいのだけどそれは出来ない。ここを省いて感謝の氣持ちを伝えるのはわたしにとっては不十分なことだけど、それでも今伝えられる精…
ここでもまた山羊くんが占いの話を出してきた。正確には占いではなく、名前と生年月日からその人の傾向とか向いてることを分析するテストのようなものらしいけど。最近それをやったから占い屋に意識が向いてたのかなーと思った。ああ、でも、動物占いの話も…
事前にわたしがあまり遅くなれないと言ってたからか時間を氣にしつつも、もう一軒誘ってくれた。じいさんに邪魔されてモヤモヤしたまま帰れるワケないじゃないか、行くに決まってる!笑 そもそも今日の目的果たしてないし!!
居酒屋はかなりごちゃごちゃした雰囲気で、長テーブルに横並びで座ってしまったので前の人との距離も近くあまり落ち着けない感じだった。飲み始めてしばらくして山羊くんが聞いてきた。「そういえば、いつ離婚したの?」
プラネタリウムは町のプラネタリウムといった感じでこじんまりとした施設だった。それでも平日にもかかわらず、チラホラお客さんがいた。これディスタンス系ー?とか言いながら山羊くんが一席空けて座ったのが悲しかった。他のお客さんは普通に座ってたし、…
蕎麦屋に入ってまた驚いた。席に案内された時、わたしに上座を勧めてくれたのだ。今までこんなことなかったのに!こちらが壁際なのでコートを掛けようと預かったが、山羊くんに思いっきり触れている感覚になって内心ドキドキした。
仕事にも今の生活リズムにも慣れてきたので、山羊くんと飲みに行く約束を果たすことにした。少し前に用事で出掛けた際に、山羊くんが好きそうな昔ながらの大衆居酒屋を見つけたので、その時からそこに誘いたいなと思っていた。
実家と自宅を行ったり来たりしながら今出来ることをこなしていたある日、突然山羊くんからメールが届いた。『機種変しようと思ってるんだけど、どのプランがお得かなー?』山羊くんからメールなんて今まで片手で数えられるほどしかない。何事かと驚いたけど…
2020年が幕を開け、迷いながらも新年のメールだけ送ってしまった。それから1ヶ月もしないうちにとんでもないウイルスが中国から広まっているらしい、というニュースが入ってくるようになった。この頃は情報が少なく感染経路も~らしい、~らしい、だらけで…
半月後くらいに友達と旅行に行くことになった。本当にたまたまなんだけれど、行先は山羊くんの出身県だ。電車を降りてその地を踏んだ瞬間、〝あ~、ここが好きな人が生まれた土地なんだ!!〟と、なんだかとても幸せな気分になった。
何もない日常より未来はなくても好きな人がいるというだけで幸せだと思っていた。 けれどこの頃自然に、もうそろそろ山羊くん離れをしないといけないなと思い始めた。
銀座に移動して飲むことになった。わら焼きのお店だ。山羊くんはいつも色んなお店に連れてってくれるけど、どうやって見つけてるんだろう。今となっては初日のあのグダグダが嘘みたいだ。
毎週会ってる感じを味わえたとはいえ、やっぱり本物に会いたい。ドラマも終わったし、そろそろ会えないかなーと思ってたところにタランティーノ作品の〝ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド〟が公開中なのを知った。確か山羊くんはタランティーノ…