題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

大衆居酒屋


居酒屋はかなりごちゃごちゃした雰囲気で、長テーブルに横並びで座ってしまったので前の人との距離も近くあまり落ち着けない感じだった。

飲み始めてしばらくして山羊くんが聞いてきた。

「そういえば、いつ離婚したの?」

 

「…まだしてない。」

「なんだよまだしてないのかよー!!」

わたしだって早くケリをつけたいよ…。

「お金のこととかまだ色々きちんとしなきゃならないことが全然進んでないから
 さー。」

「そうだよな、時間かかるよな。お金のことは大事だしな。」

そうは言ってくれたけど、正直1円も貰えないと思ってる。わたしが貸した300万も
返ってこないだろう。
状況が悲惨過ぎて逆に笑えてくるくらいだった。
もうお金のことよりも、一刻も早くあの人と縁を切りたい。

色々と話し込んでたら、向かいに座っていたザ・酔っ払いみたいなおじいさんが突然話しかけてきた。
もうわたしは酔っ払いには関わりたくないし、1年3ヶ月ぶりの再会なのだ。ワケのわからない酔っ払いに邪魔されたくなかった。
それなのに山羊くんが好意的に返事してしまうもんだから、おじいさんは嬉しくなっちゃったのかどんどんワケのわからない話を山羊くんにふってくる。店内が騒がしいのであまり聞き取れなかったが、どうやらおじいさんは女に敵意がある感じだし、山羊くんを独り占めしたそうだった。
なんでこんなおじいさんに邪魔されなきゃいけないんだ、勘弁してくれよ…と思っていたら、突然おじいさんが聞いてきた。

「ところで二人は何なの?どういう関係?」

山羊くんが照れたように少し笑いながら友達ですよーって言ってて、わたしも笑いながら頷いてたけど、内心はその山羊くんの反応が嬉しかった。
一瞬の動揺もなく当たり前のように友達って答えられても、笑い飛ばしながら答えられても悲しいじゃないか…。あの笑い方には少しの動揺が含まれていた。それが嬉しかった。この点に関してはおじいさんナイス!と思った。笑

でもこの後山羊くんがトイレに行った時に本当は姉弟なんじゃないの?弟じゃないの?とか言ってきて、やっぱさっさと帰ってくれ…と思った。
老けてて悪かったですね、仮に姉弟だったら友達なんて嘘つかないだろ。笑

ここのサワーが濃くて、おじいさんのせいであまり話に参加もせず飲んでたのでまた悪酔いしてきてしまった。もうそろそろ限界だ、ここを出たい…と思った頃に山羊くんがそろそろ行こうと言ってくれてホッとした。

「オレが将来あのおじいさんみたいになったらどうするー?笑」

山羊くんがいきなりこんなことを言ってきた。いや、そんな想像微塵もつかないし。笑

あれはうちの夫のなれの果ての姿だ。
そう、それも相まってうんざりだったのだ。