題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

初対面


〝あ~、怖い感じの人だったらどうしよう。〟

よくよく考えてみれば、わたしは小説を読んでると勝手に登場人物の容姿のイメージが浮かんでくるタイプだけど、読み進めた時に出てくる描写とj自分のイメージがことごとくかけ離れているのだ。
文字からの想像が全く当たらないタイプだったことを今更思い出した。

 


別の意味でドキドキしながら喫煙所に向かった。
傘で自分を隠し気味に差しながら近づく。
意を決して喫煙所にいる人を見ると、笑顔でこっちを見てる背の高い人がいた。

『あの人だよね…?ヤバい、高身長イケメンじゃん!!中の人コレ!?
 わたしこの人相手にスーパーの話なんかしてたーーー!!!』

最初に抱いた正直な感想がこれだった。
驚き過ぎて一度思わず顔を反らしてしまったくらいだ。

怖そうな人じゃなくてよかったけど、イケメンに縁のない人生だったのでどう振る舞うべきか困った。
とりあえずイケメンや美人は容姿を褒められるのにうんざりしてるというし、間違ってもイケメンですねとは言わないようにしようと心に決めた。

「やあ。」だか「ハロ。
」だか、そんな挨拶を交わしたと思う。

正確に思い出せないけど、お互い〝
はじめまして〟とは言わなかったことは確かだ。

喫煙所から映画館に向かうまで、山羊くんが色々話しかけてくれて助かった。
頭の回転が鈍くて、自分から会話の口火を切ることが苦手なのだ。
それに加えて子どもの頃から男子には緊張するタイプだったし、早くに結婚したのですっかり男性に免疫のない生活を送っていたので余計だ。

それにしてもいい意味で裏切られた。
それもそのはず、山羊くんはSっ気を抑える為に自分は敬語のままでやり取りすると言って、一人称も私だったのだ。

あのメールの雰囲気から、目の前にいる山羊くんが想像できるはずもなかった。