題名のない雑記帖

まだまだ道半ば。今はまだタイトルをつける時じゃない。

ランチ


原宿に移動してランチしようと言われた。
わたしは専業主婦だし山羊くんは独身だから、独身の人の方が都心のお店に詳しいと思ってランチに関しては丸投げしていた。

 


原宿に行こうというからにはどこか決まってるんだと思ったら、特にアテはなかったらしく一時間近く歩く羽目になった。
正直映画を観てる段階でかなりお腹が空いてたので、お店決まってないなら渋谷まで行っちゃってヒカリエとか入らない?って言いかけたけど、こういう時に出しゃばるのはよくないかなと思い黙って従った。

最悪な夫のせいでだいぶ色々な感覚が麻痺していたので、自分を抑える修行だと思った。

それに練り歩いているうちに、高身長男性の隣を歩くというのはやはり気分がいいもんなんだなと初めて知った。
元カレ含め男性の身長を気にしたことは今までなかったけど、なるほど世の女性達が高身長を理想の彼氏の条件の一つに入れる理由が初めてわかった。
これは新しい発見で面白い経験だった。

結局たまたまあったカフェでランチすることになった。
多分女性はカフェが好きだろうと気を遣ってくれたのだろう。

カフェでも山羊くんは色々話しかけたり、質問してくれた。
答えてるうちに食べるのが疎かになり、少なからず緊張もあって半分くらい残してしまった。

〝食べ物を無駄にするとか印象悪いよな…どうしよう。〟

と思っていたら、山羊くんが

「いっぱい話しかけちゃってごめんね。
 無理しないでいいよ、オレ食べちゃっていい?」

と言って片付けてくれた。
優しさにびっくりしたのと同時にこの人の危機管理意識が心配になった。
初対面の人間の食べ残しを食べるなんて、もしわたしが何か病気とかあったらどうするんだろう、と。